評価の分類

評価は、ストラクチャー(構造)、プロセス(過程)、アウトプット(事業実施量)、アウトカム(効果・成果)など観点から行います。どれがその分類に属するかは、その中身を吟味する必要があります。

ストラクチャー(構造)評価は、実施するための仕組みや体制を評価します。具体的な指標は、従事する職員の体制、予算、施設・設備の状況、他機関との連携、社会資源の活用状況などです。看護手順の整備の有無は仕組みなので、ストラクチャーになります。プロセス(過程)評価は、手順や活動状況を評価します。具体的な指標は、情報収集、目標の設定、指導手段、指導者の態度、記録状況、対象者の満足度などです。退院指導の実施は、活動状況なので、プロセスになります。

アウトプット(事業実施量)評価とアウトカム(効果・成果)評価は、どちらも事業の目的・目標の達成度(結果)を評価するものです。プロセス評価との関係も含めて、考える必要があります。例えば、生活習慣病予防の健康づくり教室でのプロセス評価は、実施日ごとの参加者数などで、アウトプット評価は、最終的な参加者数、アウトカム評価は、腹囲や肥満度の減少率、健診結果の変化などになります。参加者数はアウトプットになりますが、看護師1人当たりの患者数は体制なので、アウトプットではなく、ストラクチャーになります。

患者の満足度については、実施過程に対する満足度であればプロセス、結果や成果に対する満足度であればアウトカムになります。

行政活動の成果(政策の成果)を測る指標としてのアウトカム指標は、受益者(国民や地域住民)の観点から成果(具体的な効果や効用)を基準として評価する必要があります。アウトプットとアウトカムとの違いは、アウトプットは結果を示すのに対して、アウトカムは、結果の中でも効果や成果などを示すことです。要介護高齢者の介護者の交流の集いの場合、参加者数がアウトプットで、ストレス対応状況の改善や介護困難感の軽減、健康診査結果の向上などがアウトカムになります。

地域福祉の実践では、プロセスゴール(過程達成)、タスクゴール(課題達成)、リレーションシップゴール(関係力学変容)等で評価する場合があります。事前評価、中間評価、事後評価に分けることもできます。途中過程で評価をすることをプロセス評価、終了時点で評価することをアウトカム評価と言う場合もあります。

保健事業の活動計画を立案する際には、同時に評価計画も策定します。評価の指標(基準となるもの)は、企画評価、実施評価(プロセス評価、影響評価、アウトカム評価等)などです。事業に要した費用と効果から効率性をみる経済的評価は企画評価に含まれます。実施評価には、形成的評価や総括的評価があります。

事業実施の途中で、実施内容や方法を確認したり修正したりするために行うのは形成的評価で、プロセス評価などが該当します。事業実施後に行われるのは、総括的評価で、アウトプット評価やアウトカム評価がこれに該当します。


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