ナラティブ・アプローチの問題の外在化

久々に、国家試験問題解説をします。

次の問題。

問題31-101 事例を読んで,この場面におけるナラティブ・アプローチに基づくA生活相談員(社会福祉士)の応答として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕 Bさん(85歳,男性)は,特別養護老人ホームに入所している。妻は10年前に亡くなっており,子どももいないため身寄りがない。Bさんは,話し相手もおらず,部屋に閉じ龍もりがちである。ある時,A生活相談員に対して,「生きていても仕方がない。早くお迎えがくればいいのに」と語った。

1 「そのような悲しいことは言わないでください」問題を外在化していない。

2 「何があなたをそのような気持ちにさせるのか教えてください」問題を外在化している

3 「奥さんの死がBさんの孤独を深めているのかもしれません」問題を外在化していない

4 「グループ活動に積極的に参加するといいと思います」問題を外在化していない

5 「この先,きっといいこともありますよ」問題を外在化していない

ナラティブ・アプローチ(物語モデル)はご存知ですか?

社会構成主義などと言ったりします。このアプローチは、

①問題の外在化②ユニークな結果の発見③物語の書き換えのステップ

このような順序で展開します。ここを覚えてください。

選択肢1 自分の気持ちや意見を言う「反応型応答」です。反応型応答は国試では不適切。それでもかまいませんが、ここでは、①問題を外在化(原因は他にある)かどうかで判断します。

選択肢2 「何があなたを」開かれた質問です。確認型応答とは言い切れませんね。でもなんとなくこれを選びそうですね。そうではなく、明らかに①問題を外在化している。と言うことで自信をもって選びましょう。

選択肢3 「確認型応答」っぽいですが、語尾が「かもしれません」ですから、ワーカーが自分の意見を述べている「反応型応答」ですね。面接の技法「感情の明確化」っぽいので、思わず選びそうになりますが、ナラティブ・アプローチに基づくですから、①問題を外在化しているかどうかで判断します。

選択肢4と選択肢5は、ワーカーが私見を述べている「反応型応答」ですし、特に選択肢5は不適切な無責任発言ですね。問題の外在化とは全く関係ありませんね。問題の外在化が「奥さんの死」なのかも知れませんが、外在化する過程の質問文(選択肢2)とワーカーが自分の意見として述べている(選択肢3)では、質問文の方を自信をもって選んでくださいね。

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