障害者の定義

障害者は、大まかに身体障害、知的障害、精神障害の三障害に分かれます。精神障害は、知的障害や発達障害と相互に乗り入れ、身体障害と知的障害との重複障害をもつ場合もあり、この三障害の分類が最善かどうかは言い切れません。近年では、精神障害者にカッコ書きで、発達障害者を含むとした法律が多くなっています。また、障害に関する各種の法律は、18歳以上の障害者について規定しており、18歳未満の障害児については、児童福祉法に規定されています。

障害者自立支援法では、身体障害(児)者、知的障害(児)者、精神障害(児)者を対象とし、従来概念が無かった精神障害児を、初めて支援の対象としました。この6分野全てを対象にするという考え方は、「障害者総合支援法(略称)」にも引き継がれています。

障害と傷病の違いは、症状の固定です。症状が固定されて治癒の可能性がないものが障害とされ、治療によって治癒の可能性があるものが傷病とされます。しかし、精神障害の分野では、疾病の状態にある者も、障害者に含めて対象とします。これが身体障害や知的障害と異なる点です。そのため、精神保健福祉手帳は、二年ごとに再認定を受けるなど、有効期限が定められています。

身体障害者福祉法は、身体障害者について規定している法律です。この法律は身体障害者を「身体に障害がある人」ではなく、「身体障害者手帳の交付を受けた者」と定義づけています。ですから、身体障害者手帳の発行数が、そのまま身体障害者数ピッタりです。それから身体障害者手帳を取得する要件について規定しています。身体障害者福祉法施行規則には別表第五号として身体障害者障害程度等級表があり7級までの障害が規定されています。その等級表で6級以上が障害者として手帳を交付されることになっています。7級まで規定されているのは、同一の等級で二つの重複する等級がある場合は一級上の等級となるからです。7級の障害が一つでは障害者として認定されませんが、二つある場合6級となり手帳交付の要件を満たします。身体障害者更生相談所(都道府県設置)についてもこの法律で規定されています。

ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害(HIV)も内部障害として身体障害者障害程度等級表の1級から4級に位置づけられています。ですから、申請すれば身体障害者手帳を取得できます。国内では同性間性的接触での感染が最も多くなっています。感染しても発症していない場合は、後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断されません。

HIVに感染した場合、パートナーへの二次感染予防として、性交渉時には、コンドームを正しく装着する必要があります。現在では、適切な対応によって母子感染率を0.5%にまで下げることが可能になりました。

慢性閉塞性肺疾患は、身体障害者福祉法における呼吸器機能障害として、自立支援医療(更生医療)の適応となり、医療費の助成が受けられます。

知的障害者福祉法に規定されるのが知的障害者ですが、この法律には、知的障害者の定義も福祉サービスを受ける手帳制度についての記述もありません。知的障害者福祉司や知的障害者更生相談所(都道府県設置)等について規定するにとどまっており、知的障害者の手帳は、厚生省の事務次官通知「療育手帳制度について」で運用されています。法律での規定では無いため、通称名で「愛の手帳」や「緑の手帳」という名称が使われてたりします。

身体障害者福祉法では、手帳を持っている人が障害者。知的障害者福祉法では、定義がなし。それでは精神保健福祉法ではどうでしょうか。

明治時代にできた「精神病者監護法」、大正時代にできた「精神病院法」の流れをくみ、戦後1950(昭和25)年にできた「精神衛生法」が、1987(昭和62)年に「精神保健法」となり、1995(平成7)年の改正で精神障害者の「福祉の充実」を図り、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)」となりました。精神保健福祉法が、福祉三法や福祉六法には含まれていないのは、元々福祉の法律ではなく法律名に「福祉」が使われるようになったのは、1995(平成7)年以降だからです。

「精神衛生法」では、私宅監置が廃止されました。1965(昭和40)年の「改正精神衛生法」では、通院医療公費負担制度が導入されました。「精神保健法」に改称された時に、任意入院が新設されました。。

この法律では、精神障害者と「精神保健福祉手帳」制度、入院形態等について規定しています。手帳制度が創設されたのは、「精神保健福祉法」からです。

この法律による精神障害者の概念規定はあいまいで、統合失調症、精神作用物質の中毒と依存症、知的障害者、精神疾患の患者までも含まれています。法律の目的は、精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図ることです。

平成23年の患者調査によると、精神及び行動の障害で入院した患者で最も多いのは、統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害です。人口当たりの精神病床数は、OECD加盟国の中では高い水準にあります。各都道府県及び政令指定都市には、精神保健福祉センターが設置されています。調査・研究、相談・指導、手帳の交付、市町村に対する技術的な協力や援助などの業務を行います。

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