町内会・自治会とは
町内会や自治会は、地縁(同じ地域に住むことで生まれる社会関係)を組織化したもので、明治時代以前(江戸時代にも類似組織がありました)から日本に普及していました。ところが、戦争中に「隣組」として、行政の下部組織として改変されたために、戦争に負けた後、GHQに解散させられました。戦後は、GHQの思想統制が厳しく、戦前に日本にあったものは、ほとんど否定され、日本人に劣等感を植え付けるための教育が行われました。戦前の日本は、民主主義が根付いていたのにもかかわらず、戦時中だけを捉え、全体主義国という烙印を押され、欧米の個人主義を素晴らしいものとする教育を行い、無意識のうちに国民の団結力を削ごうという試みだったのです。
サンフランシスコ講和条約後、日本は独立を回復し、町内会や自治会が復活することになります。思想統制されていたマスコミ各社は反対しますが、当の地域住民たちは、主体的に参加したため、復活することになりました。しかし、欧米個人主義に偏った教育を受けた人の中には、町内会や自治会を嫌う人がたくさんいます。
町内会や自治会には、「問題対処」「環境維持」「親睦」の三つの機能があります。問題対処は、地域の問題の解決に関する活動で、交通安全、防犯、防火、防災、青少年育成、非行防止、消費者、資源回収、ゴミ回収、福祉、生活改善などです。環境維持は、環境美化、清掃、衛生、施設の維持・整備などです。持ち回りでゴミ置き場を清掃するなどは、両方にまたがる機能と言えるでしょう。親睦は、祭礼、盆踊り、運動会、文化祭、レクリエーション、ラジオ体操、子ども会活動などです。
これらの存在意義が、大災害の時に大きな役割を担ったことは、みなさんご存知のとおりです。地域住民が、安心して暮らせる安全な町を自分たちの手で維持していくためには、必要な組織と言えます。市町村等行政が行き届かない、財政的に今後も行き届く見込みが立たない地域福祉の補完は、自分たちの手で少額な資金を出しあい、自分たちのボランティア精神で、多少の労力を提供しあい、町内会や自治会で行う以外に今のところ方法はありません。現在では、地域福祉を担う社会福祉協議会や民生委員・児童委員協議会等も、町内会や自治会との連携は必須であるとして、繋がりの強化をさぐっているところです。
全ての生物は、共棲して生きています。人間も同様に、一人では生きられない社会的な動物です。孤立か共生かどちらかを選ばなくてはならなくなった時、誰もが共生を選ぶのではないでしょうか。住民の移動が多い地域で、加入を拒否する人が多くなり、町内会や自治会の組織率が低下しているのは残念なことです。
加入せずに、会費も払わず、地域の義務も負わずに、サービスだけを受ける人をフリーライダー(ただ乗り人間)といいます。定住化と同時に、地縁をたどって加入する。ご近所同士で加入の勧誘をし合うなど、地縁を大切にする努力が会員、非会員の両者に必要です。それが、自分たちの地域を少しでも長く維持することにつながるのではないでしょうか。
0コメント