出産と育児に関する法律

社会人として知っておかなくてはならない、社会福祉や社会保障に関係する法律はとてもたくさんあります。さらに、法律は、しばしば改正されたり改称されたりするので、注意を要します。勤労する人が知っておかなければならない法律や、子どもを産み、子育てをする人が知っておかなければならない出産と育児の法律などは、最低限覚えておきましょう。

妊娠すると「母子保健法」に基づいて、市町村に妊娠届を提出し、母子健康手帳を取得します。無料です。これによって、妊婦健診(妊婦健康診査)を受け、出産に備えます。健診には公費の助成があります。母子健康手帳を受け取ると、母親学級、両親学級などの「出産準備教室」の案内があります。自治体が実施している場合や、産院で実施している場合がありますが、初産婦しょさんぷに対しては、その参加を促すことも有効な支援となります。妊婦の保健指導も母子保健法です。乳幼児健康診査も母子保健法です。

働いている女性の時差出勤は、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する法律(男女雇用機会均等法)」の「妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置」の「必要な措置」として規定されています。事業主は、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければなりません。具体的には、妊娠中の通勤緩和(時差通勤、勤務時間の短縮)などへの対応です。妊産婦の時間外労働の制限は、この法律の他、「労働基準法」でも規定されています。

産前産後の休業は「労働基準法」で規定されています。勤労女性は産後最低8週の休暇を取得できます。正期産とされる妊娠週数は37週から41週です。37週未満を「早産」、42週以降を「過期産」と言います。

また、「労働基準法」では、軽易業務への転換、危険有害業務の就業制限などが定められています。「育児時間」について規定しているのも「労働基準法」です。

出産育児一時金や家族出産育児一時金は「医療保険制度」に位置づけられているので、「健康保険法」等で定められています。したがって何らかの「医療保険制度」に加入していなければ支給されません。

出産育児一時金という名称ですが、実際には、育児とは関係なく、出産費用を助成するものです。「健康保険法」等で定められた「出産育児一時金(出産費用の助成)」は、産科医療保障制度の掛け金を加えて、合計42万円が「医療保険制度」から給付されています。

産前産後休業中にお給料がもらえなければ、「健康保険法」等から「出産手当金」として標準報酬日額(今までもらっていたお給料)の3分の2が支給されます。

本人が出産しても、家族が出産しても、出産育児一時金がもらえますが、家族出産手当金というのはありません。家族(妻)が出産しても、本人(夫)は働くことができるからです。

出生届は市区町村に提出します。夫婦のどちらかが日本人であれば、日本国籍が取得できます。

出産を終えると、育児休業を取得することができます。これは、「労働基準法」ではなくて「育児介護休業法(略称)」に規定されている権利です。産前産後休業と育児休業は、別の法律によりますので、意識して覚えておきましょう。配偶者の育児休業もこの法律に規定されています。

新生児は、生後28日(4週間)の乳児のことをいいます。

新生児訪問指導は、「母子保健法」に基づく育児支援です。

育児休業中にお給料がもらえなければ、今度は「雇用保険法」により、「育児休業給付金」が支給されます。育児休業開始から180日間は休業前賃金の67%、子どもが1歳になるまで50%が支給されます。そして「パパ・ママ育休プラス制度」を利用して、子どもが1歳2か月に達する日まで、両親で制度をを利用した場合にも、その期間両親ともに支給されます。さらに法改正により最長2歳までとなりましたので、「育児休業給付金」も延長されることになりました。

このように、一連に思われる支援や給付も、現在の日本では、それぞれ別の法律に定められていることを理解しておく必要があります。

その他に、児童福祉法では、経済的事情で出産費用が出せない人が出産するための施設として「助産施設」を規定しています。また、出産後、保護者が居なくなった乳児のために、「乳児院」が規定されています。


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